概要 | 花粉症をはじめとした免疫過剰疾患は21 世紀の文明病と呼ばれ,安全な予防法の開発が望まれている。本申請代表者は,ミルクIgG 抗体とそれが認識している抗原を同時にマウスが経口摂取すると,腸管パイエル板内の抗原提示細胞である樹状細胞のFcγIIb レセプターにその抗原抗体複合物が結合することにより,抗原情報を伝達するのに不可欠なCD80 分子とCD83 分子が樹状細胞表面に発現されなくなることにより,粘膜及び全身の抗体産生が阻害されることを見出し,特許申請を行うとともに学術誌で公表した。このような抗体の産生を直接抑制する食品成分を用いた花粉症軽減食品の開発は未だなされておらず,本申請原理に基づく,花粉症軽減食品の開発は新規性・独創性の極めて高いものと考えている。本申請研究は,最終的には牛乳IgG 抗体を用いた花粉症軽減食品の開発を目標とするものであるが,まず,申請者が考えている仮説が実用化できるかどうかの知見を得る為に,本申請研究では実験や管理が行い易いシバヤギを用いて実用化の可能性試験を行うものである。すなわち,妊娠が確認されたシバヤギにパン酵母を免疫する。そのシバヤギが分娩後に分泌したミルクからIgG 抗体を分離し,その抗体に免疫に用いたパン酵母を混合し,花粉症と同じメカニズムでアレルギーを起こす系統のアレルギー自然発症マウスの飼料に添加して与える。パン酵母とミルクIgG 添加飼料群とそれらの無添加飼料群のアレルギー関連パラメーターを比較分析することにより,本申請の原理に基づいた花粉症予防が可能か否かが明らかになり,本申請研究の目標が達成される。
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