概要 | CdSe, CdTe などの半導体ナノ粒子は量子ドットとも呼ばれ、高い量子効率(>80%)でバンドギャップ発光を示す。また、発光ピーク波長は粒子サイズにより変化させることが可能であり、発光ピーク幅も非常にシャープ(約30nm)であるという特徴を持つことから、生体分子マーカーなどの蛍光プローブとして期待されている材料である。従来の蛍光色素とは異なり、これらナノ粒子は半導体であるために、バンドギャップ以上のエネルギーをもつ光の照射により、その波長に関わらず効率よく光励起される。したがって、単一の励起光により複数のナノ粒子を光励起でき、マルチカラーイメージングが簡易に実現できる。さらに対象とするナノ粒子は無機材料であるために、従来の有機色素に比べてはるかに劣化しにくい(100 倍以上)。しかしながら、Cd など極めて毒性の高い元素を含んでおり、一般利用は望めない。本研究では、低毒性元素のみからなる半導体ナノ粒子を化学合成するとともに、その発光波長制御と発光量子収率の向上を行う。また、申請者が独自に開発したサイズ選択的光エッチング法を用いて、粒子サイズを光の波長により制御し、発光波長を制御する。さらに、生体分子染色用の分子マーカーとして実用化を検討する。
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