研究代表者 |
桑野 剛一 久留米大学, 医学部, 教授
|
研究期間 (年度) |
2006
|
概要 | マイコプラズマ肺炎はM. pneumoniae により惹起される肺炎であり、児童、若年成人を中心に発症する。最近、マクロライド系抗菌剤に耐性を示すM. pneumoniae の分離が増加の傾向にあり、将来マイコプラズマ肺炎の治療が困難になる可能性が指摘されている。しかしながら、M. pneumoniae 由来の病原因子はまだ特定されておらず、マイコプラズマ肺炎の病態は宿主の過剰な免疫反応が一因であると考えられている。ところが、このような宿主の免疫反応を引き起こす菌由来の成分については、未だ同定されていない。私たちの研究室では、最近マイコプラズマ肺炎の病態である炎症反応を引き起こすM.pneumoniae 由来のリポプロテイン抗原を世界で最初に発見した。このリポプロテインはToll likereceptor(TLR)1、2、6 を介してシグナルを伝達し、炎症性サイトカインを産生した。さらに、合成リポペプチドをマウスの肺内に投与したところ、著明な炎症反応を誘起することを見出した。最近、私たちはこのリポプロテインに加えて新規のリポプロテインを発見した。それによって、M. pneumoniae 由来の炎症に関与するメジャーなリポプロテインは検出できたと考える。私たちが発見したリポプロテインが誘導する炎症のシグナルを抑制できれば、M. pneumoniae による肺炎の発症を抑制できるだろうと予想される。そこで、本研究ではリポプロテインを抗原としたマイコプラズマ肺炎ワクチンを開発することを目標とする。
|