概要 | セレブロシドはこれまで牛脳が給源であったが、BSEが問題になって以来、農産品に給源がシフトしている。しかし、農産品からのセレブロシドの収率は著しく低く、純度3%程度のものでさえ末端価格が20~30万円/kgにも及ぶ。キヒトデには農産物の中でも最もセレブロシドが多いとされるリンゴ粕との比較においても、約40倍ものセレブロシドが含まれている。それにも拘わらず、今までこのような付加価値の高い物質がキヒトデに豊富に含まれているということに気づいてこなかった。キヒトデは北海道だけに限っても年間17,000トン前後水揚げ駆除されており、肥料化研究ばかりに投資がなされてきた。本研究はこの方向性を大きく変えて、“セレブロシドの給源”というヒトデに桁外れの価値を見出した点で新規性が非常に高い。また動物性試料に対して、従来はウェットの状態からの溶媒抽出法ばかりが主流であったが、本研究では“乾燥+破砕”を組み入れたユニークな抽出法を提案する点においても独創的である。本試験で実施する研究のポイントになるところは、容易に実施可能なエタノール抽出物からのアステロサポニンの分離法の開発である。サポニンの除去によって、食べる化粧品への応用のみちが開ける。また、もしもセレブロシドとサポニン両者の回収が可能になれば、実用化に向けた道のりが一気に短縮される。
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